身内が亡くなってからのお正月の迎え方やお祝い事、結婚式など、忌中の期間は実際にいつまでで、どのくらいの期間、どのようなことを自粛すれば良いのかよくわからなかったりすることありませんか?ここでは忌中や喪中はどのくらいの期間で、どのような事を控えればよいのか、またはどのように過ごせばよいかなどをご紹介したいと思います。
忌中とは?
身内が亡くなって、喪に服している期間を忌中といい、現在では一般的に、亡くなってから四十九日間が忌中にあたると言われています(神道では50日間)。昔の人々は、この期間は身を慎んで、外部との接触などを絶ち祝い事や祭りなどへの参加は自粛して自宅にこもって過ごしたと言われています。現在では大切な身内を亡くなった哀しみをいやし、故人の冥福を祈るための期間とされ、学校や会社などでは「忌引き」の休みを取ることも許可されていることがほとんどです。※忌引きと許可される日数は故人との関係によって異なり、勤務先や学校ごとに定められています。
喪中とは?
現在では、忌中が亡くなってから49日間とすると、喪中は亡くなってから1年間の事を指すことが多いです。明治時代には太政官布告(だじょうかんふこく)服忌令(ぶっきれい)という法令に基づいては忌中の期間が細かく決められていた時代もありました。
忌服期間の心得は?
●慶事などの華やかな席への出席は控える
知人の結婚披露宴やパーティー、宴会への出席なども控えるべきだといえます。結婚式はおめでたい事ですので、忌中の間(忌明けの法要が済むまで)は丁寧にお断りすることがマナーです。忌明け法要が終わってからはごく親しい友人などの場合はご自身の気持ち次第で参加する方もいるようですが、結婚式は慶事にあたりますし、縁起を気にする方も多くいますので、もしも参加する場合は、ご友人が気にされるようであれば、わざわざ忌中や喪中だという事をお話しすることはしないで参加する方が、ご友人にとっては良いかもしれません。もしくは出席をお断りすることもお相手にとっては心遣いになることもあります。
●神社への参拝、祭事への参加も慎む
神社・神道では、死は災いとして、忌み嫌います。神社への参拝をはじめ、祭事などへの参加も控えるようにしましょう。忌中を過ぎて喪中の間も神社へ行くことがある場合は鳥居はくぐらないようにします。理由は、神道では“神様は人が亡くなり、穢れ(けがれ)がついていることを嫌うため”という事から来ていからです。出来れば喪中の期間が終わるまでは神社は行かない方が良いのかもしれませんね。 反対に、神道ではなく仏教のお寺・寺院は参拝しても大丈夫といわれます。仏教では死は尊いものと考えられており、亡くなった方を「仏様」と呼びますよね。神社・神道とは宗教が違うことから、その根底にある死の考え方が違うということもおぼえておくと良いかもしれません。
●年越しと忌中が重なったときは年賀状や初詣は控える
忌中や喪中は、年賀状は出さないで、年賀欠礼の喪中はがきを前もって出し、喪に服していることをお知らせします。この年賀欠礼のお知らせは出来れば11月中旬ごろから12月初めごろまでには相手に届くように送ると良いです。早すぎると忘れてしまう事がありますし、遅すぎると相手の方がすでに年賀状を用意してしまっていることなどがあるため、年賀欠礼のはがきは出す時期に注意することを忘れないようにします。お正月のお飾りや初詣は控え、おせち料理や新年の挨拶はしないようにして、家で静かに過ごします。
●自身の結婚式などの延長
結婚式の予定間近に身内が亡くなった場合、葬儀などで忙しくなりますし、何よりも悲しみが多い為、気持ち的に自身の結婚式をすることは困難になりますので、結婚式は延期する方が良いでしょう。すでに招待状を出してしまった場合などは、まず結婚式場などに連絡し、延期の手続きを取ります。その後、事情を参列予定の皆さんへ説明し、お詫びと共に延期することを伝えます。丁寧に事情を説明すれば皆さんの理解が得られますので、気を落とさないで乗り切っていただければと思います。
●忌中の旅行
「遊興を控える」という考えから、忌中の旅行は避けた方が良いとされています。葬儀などであわただしい日々が続いて旅行へ行ける気分などではないと思いますが、楽しみにしていたものでもあると思いますので、一旦延期して、改めて行くことを考えましょう。忌明けを目処に旅行をされる方も最近では多くなっています。
忌中の実際
忌中は、故人の冥福を祈ることに専念し、明治18年の太政官制が廃止となるまでは、「忌」の期間には門を堅く閉ざして外出することもひとに合うことも許されず、家の中では喪服を着て暮らしていたほどです。
近年では多様化する価値観から、忌中や喪中期間であっても個人の判断により、慶事へ参加することも多くみられるようになって来ています。例えば、喪中期間に行われる親族や友人の結婚式へ参加するといったケースです。
習慣や風習は時代により変わっていくものですので、何が正しいや何が間違っているといったものではなく、様々な習慣を知った上で、周りの年長者などと相談し、自身で行動を起こしていくことが多くなっていくのではないかと思います。