いつも何気なく飾っていた仏壇のお花やお墓参りのお花。お供えには向かない物やお花の本数など知っておいた方が良い決まり事やマナーなど、沢山あるということをご存知ですか?ここでは、仏壇やお墓参りに行く際のお供えの花に関して、わかりやすく簡単にお供えすることが出来るお花の選び方や飾り方などを紹介したいと思います。
仏壇やお墓参りの花の事をなんという?
仏壇やお墓にお供えするお花の事を仏花(ぶっか)と言います。仏教において、お花はとても重要な存在です。仏壇やお墓にお花をお供えすることは、自然界の厳しい環境に耐えてようやく咲く花の姿、もしくはお供えされた後も耐え忍んで咲き続ける姿から、人間の物に対する忍辱(にんにく)の誓いとしてお花をお供えするとされます。したがって、私たちもお花をお供えする際は自分も花のように耐え忍んで力強くおりますという気持ちをもってお供えすると良いのかもしれませんね。
※忍辱(にんにく):仏の教え・言葉で、恥を耐え忍んで、心を動かさない事。
一般的に仏花はどんな花を使うの?
仏花に関しては決まった花を供えなければいけないという決まりはないのですが、良く使われるお花や季節によってお供えするお花をアレンジしたり、仏様やご先祖様、亡き故人の方にも季節を感じてもらえるようなお花が良いかもしれませんね。
●お供えに多く使われる花の品種
・菊(輪菊・小菊・洋菊)
・カーネーション
・百日草
・ストック
・キンギョソウ
菊は秋に咲く花ですが、現在は1年を通じて栽培されており、水はけや花もちも良いことから仏花としては代表的です。仏花にふさわしいお花は、基本的には手入れがあまり必要なく、長く鑑賞できるお花です。反対にふさわしくないお花としては、毒性があったり棘のある品種、そのほか匂いのキツイものや色が鮮やかすぎるお花はふさわしくないとされています。
●季節別お供えに多く使われる花の品種
春:
キンセンカ、アイリス、などに加え桜、菜の花などの季節を感じられるお花も良いかもしれません。
夏:
リンドウ、グラジオラス、ユリなど
秋:
コスモス、キキョウ、リンドウに加え季節を感じさせるススキやケイトウでアレンジするのも素敵です。
冬:
シンビジウム、スイセン、花ウメなど
お盆の時:
・ミソハギ
・鬼灯(ほおずき)
お墓やご仏壇に供える盆花として親しまれている「ミソハギ」。お盆の頃に咲く姿を見て、亡くなった方に思いをはせることから、「愛の悲しみ」という花言葉が付けられたそうです。「ほおずき」はお盆に帰ってくるご先祖さまや故人の精霊が迷わないようにと、「ほおずき」を提灯に見たてて盆棚(精霊棚)に飾られているお盆にはなくてはならないお花の種類ですね。
仏花と本数の関係
仏花は基本的に奇数が良いとされています。
3本、5本、7本が基本で、明るい色のお花で造られています。本数により色などは変わってきますが、お花屋さんなどでは3本の場合は白・黄・紫。5本の場合は、白・黄・紫・ピンクなどをメインに花束として売っていることが多いように感じます。ご自身で選ばれるときの参考にしてみると良いかもしれません。
仏壇・お墓への仏花の飾り方
仏花を仏壇やお墓へ飾る時の基本は、一対です。一対とは同じ花束が二つ揃って一組として扱われるものをさします。同じお花を左右対称に置くことによりよりバランスが良く、きれいに見えます。さらに左右対称は円にも通じ、そこから均一、永遠・不変という発想につながり、縁起も良いという考えに至っているようです。
お花を花瓶に活ける際は長めの花を一本中心に、上からひし形になるように飾るのが一般的です。仏花の長さや色のバランスを整えて、ふんわりと丸い感じでひし形にそろえ、全体的に明るい印象になるように作ります。お花屋さんなどですでに一対で売っている物を購入してきた場合はお花を分ける必要がないので、形だけきれいに整えて飾ると良いと思います。
そしてお花を置く向きはお参りをする人に対して正面に向けお供えします。仏花は、私たちの気持ちを鎮め優しい気持ちにしたり、悲しみを癒してくれくれたりします。また、花瓶の水に養われながら限りあるいのちを輝かせている花の姿は、無常なる命の姿を表現しているとも言えることから、仏花は仏様に差し向けるものではなく、仏様が私たちに慈悲を働いてくださっているという姿を現していることよりお参りをする私たちに向けて置かれるようになっています。
現在では家の広さや仏壇のサイズなどにより、仏花を一対で置くことが出来ないことがありますが、その際は三具足というルールに従い、中央に香炉、向かって右に燭台一つ、向かって左側に花瓶でも略式にはならず、現在ではこの三具足が多くなって来ています。
お花を長持ちさせるコツ
●当たり前かもしれませんが、毎日お水を変える。基本です
●花瓶に挿す際にお水につかる部分の葉はすべて取り除き、茎だけの状態にして挿す
※葉があるままで水につけると腐ったりして傷みや悪臭の原因となりやすいです。
●すぐに花瓶に挿さず、茎の部分を新聞紙にくるんで1時間ほど水につけてから花瓶に挿す
●お水を変える時には茎の部分をきれいにする。その都度、茎を水の中で数センチ斜めに切るとさらに良い
●お花がぐったりしてきたら、氷水に3時間ほどつける
など色々と長持ちさせたり、元気になる方法がありますので挑戦してみてください。簡単な事ですが、これらをする、しないではお花の元気さがかなり違います。
最後に
仏花にはいろいろな決まりごとがあるように感じますが、基本は仏様に喜んでいただくものですので、亡き故人が好きであったお花や季節のお花を気持ちを込めてお供えすることが一番で、日頃の私たちがいつも健康でいられることへの感謝の気持ちをお花と一緒に捧げていただければと思います。