四十九日までは「香典」「香典返し」といいますが、四十九日を過ぎ一周忌以降は「香典」「香典返し」ではなく「御仏前(お供え)」と「引出物」といういい方になるのをご存知でしょうか。一周忌に参列される方は「御仏前(お供え)」を用意しますが、それに対して「引出物や」「お返し」はした方がいいのか、または引き出物はどのような物でいくら位の品が良いかよくわからないと悩んでしまう方は意外とたくさんいます。ここでは、一般的な一周忌の流れと、「御仏前(お供え)」と「引き出物(お返し)」に関して相場や品物の選び方などをご紹介したいと思います。
一周忌とは?
一周忌とは、故人が亡くなってからちょうど1年目の同月同日(祥月命日/しょうつきめいにち)のことを言います。一周忌法要については通常、その祥月命日の日またはそれより前に行うようにします。一周忌には、親族以外にも、知人・友人などを招いて法要が行なわれることが多いのですが、最近では、故人が高齢であった場合の友人や知人の方も高齢であることが多い際は、知らせなどせずに親族のみでしめやかに行う事も多くなっています。
一周忌法要はどのように執り行われる?
一周忌法要の一般的な流れとしては、施主による一周忌の挨拶から始まり、僧侶の読経、焼香、施主によるお礼の挨拶、お墓参り、お斎(おとき)という流れとなります。お墓が遠方の場合、お墓参りは省略されることもあります。また、納骨は四十九日に行われることが一般的ですが、まだお墓を建てていない場合は一周忌をめどにお墓を用意し、納骨する場合もあります。そして一周忌法要の終了後に通常、お斎(おとき)という会食を開きます。お斎とは、僧侶や列席して下さった方々への感謝の気持ちを込めたお膳で、会食をしながら故人の思い出話をみんなで話をしたりして、故人を偲びます。お寺でお斎まで全てを準備する場合もあれば、お寺では法要のみ行い、周辺の食事処やレストラン等でお斎を準備する場合もあります。僧侶がお斎に参加されない場合は、ここで「お布施」と「お車代」、「御膳料」の3つを白無地などの封筒に別々に包んでお渡しします。お斎を行わない場合は、引き出物やお菓子などと一緒にお料理を折り詰めにして持ち帰ってもらうのが一般的です。
一周忌のお返し・引出物のマナー
一周忌の法事・法要に御仏前(お供え)を持参して下さった方々には、お斎(会食)でおもてなしをし、引出物をお渡しすることが一般的なお返しのマナーとなります。一周忌の法事・法要に出席せず御仏前(お供え)だけを頂いた相手にはお礼状を添えてお返しの品を送ります。
夫婦で法要に出席する人の引き出物や金額が異なる引き出物、僧侶にお渡しする引き出物、特にお世話になった人の引き出物など他の人とは異なる引き出物を用意する場合には、お持ち帰り頂く際にすぐにわかるように印をつけておくなどするとわかりやすくなります。
引き出物の準備
一般的に、後に残らない石鹸、洗剤などの実用品や、お茶、お菓子、海苔などの食品を準備することが多いですが、一周忌にはタオルや寝具など後に残るものでも問題がないとされています。ただしあまり荷物になるようなものや重いものですと持ち帰りに不便になりますし、地域によって習慣の違いなどもあるので、不安な場合にはギフト専門店や親族に相談するようにします。遠方から来られている方の持ち運びも考慮し、カタログギフトを選ぶ方も最近は増えています。
引き出物の相場は?
喪家側は「お膳」と「引出物」でお返しするのが一般的です。香典返しは、いただいた香典の半額程度を目安にする「半返し」がよく知られていますが、一周忌は「お膳+引出物」でいただくお供えと同額、または少なくても7割程度になるように考えて用意するのが一般的です。
「御仏前(お供え)」と、「お膳」「引出物」の相場は地域などにもよりますが、「御仏前(お供え)」は参列する側も会食を考慮して1人あたり10,000~20,000円包むことが多いようです。それに対して、お膳は5,000~10,000円前後、引出物は3,000~5,000円前後が相場と言われます。ただし、各地域や家により習慣の違いがありますので、できれば両親や親戚など、事情に詳しい人に前もって相談しみるとよいでしょう。
引き出物の掛け紙やのしの表書きは?
「引き出物」の「掛け紙(のし)」は白黒、または黄白の結び切り、もしくは双銀の結び切りを用い、表書きは「志」「粗供養」と書きます。もしお斎を行わない場合であれば、引き出物と一緒に折り詰めのお弁当やお酒の小瓶等をお渡しすることもあります
引き出物はいつ渡す?
会食ありの場合
会食の席がもうすぐお開きになるという前に、皆さんの席のところに持参します。 僧侶のところから最初に配りはじめます。相手に声をかけながらお渡ししていきます。出席者の人数が多い場合は引き出物を配るのに時間がかかることがあるので、そのような場合はあらかじめ各席に置いても良いでしょう。
会食なしの場合
出席者の都合がどうしても合わない場合や、遠方での法要の場合など、会食なしでも失礼にはあたりません。会食が無い場合には、一般的に引き出物と一緒に折り詰めのお弁当などと小瓶のお酒を用意することが多いです。
最後に
一周忌の法要は年忌法要の中でも特に大切な法要となりますので、招く方も招かれる方もしっかりとしたマナーを身につけて大切な故人を偲ぶ法要にしていただければと思います。