病気やケガで入院していた際に、お見舞いに来ていただいた方や自宅で療養していたときにお世話になった方へ、病気やケガが良くなり快復したときに報告とお礼を兼ねてお返しをすることが一般的な「快気祝い」。そして快気祝いを贈る際には「のし」をかけてお返しの品を贈ります。お祝いの種類や用途により「のし」や「水引」、「表書き」にはたくさんの書き方などがありますが、快気祝いにはどのようなのしや表書きでお返しをすればよいかよくわからないという方は多いのではないでしょうか。ここでは、快気祝いに「のし」をかける際の基本的な表書きや水引などのマナーをまとめてご紹介したいと思います。
快気祝いとは?
本来の快気祝いの意味は病気やケガが良くなり、治ったことを、療養中にお世話になった方々を招いておもてなししたり、お礼の品を配ったりすることをいいましたが、現在では、自分が病気やケガなどで入院した際に、お見舞い金やお見舞いの品をいただいた方、自宅療養中にお世話になった方などに、無事退院、または病気やケガが良くなった際に快復したことを連絡および報告するためにお礼の品などをお返しするということが一般的になっています。
快気祝いはいつすればよい?
快気祝いは、退院してから一週間から10日ほどを目安にお見舞いをいただいた方へ、お返しの品を感謝の気持ちと退院や病気の快復などを報告するお礼状を添えて贈るようにします。退院しても自宅療養などで調子が戻っていない場合などは、元気が戻ってから1カ月程度を目安にお返しを贈るようにします。ご近所の方などはできるだけ早めに快気の報告及びお礼をし、会社などであれば、休みをもらっていた後の出社初日に同じ部署や関係している職場関係の皆さんに快気の報告を兼ねてお礼をすると良いでしょう。本当は、本人の元気な姿をお披露目できれば一番ですが、なかなかそのような場を設けるというのも難しいので、お礼としてまず報告をすると心配してくれている皆さんも安心できるでしょう。
快気祝いの「のし」はどれを使うの?
●そもそも「熨斗(のし)」とは?
「のし」とは漢字で書くと「熨斗」となり、通常「のし紙」の右上にある六角形のカラフルな飾りの事をいいます。現在では黄色い紙を長六角形の色紙で包んだ形のものが多く使われていて、ご祝儀袋や掛け紙の表面右上に簡略化して印刷されたものが多く使われています。慶事などのお祝い事の時に使うご祝儀袋やデパートなどでつけてもらう「のし紙」に紺色のカラフルなものがついているものが「のし」にあたります。この「のし(熨斗)」は、もともとは長寿を表す鮑を干して伸ばした「伸ばし鮑」=「熨斗鮑(のしあわび)」を表し、縁起物として献上されたり、神饌として奉納されたりしていました。
●快気祝いに「熨斗(のし)」は必要?
「熨斗鮑(のしあわび)」は縁起が良いものですので、お祝いの贈り物などには「のし」付きの掛け紙を使いますが「熨斗鮑(のしあわび)」は鮑をのばして干したものを用いています。そのため、この「のばす」という意味が「病気やけがを長引かせる」という意味合いで受け取ってしまう方や地方もあります。また、熨斗はお祝い事のイメージが強い為、病院などのお見舞いでは熨斗を付けないという地域もありますので、快気祝いを贈る際に気になる方は「熨斗鮑」の付いていない紅白の水引のみの掛け紙を選ぶと良いでしょう。
●快気祝いでの水引は?
水引とは贈り物などに付ける飾り紐のことです。のし紙を使う場合には、水引が最初から印刷されていますが、この水引にもルールがありますので、正しい水引の「のし紙」を使うようにしましょう。水引の結び方などを選ぶ際に間違ったものを使うと相手の方に失礼になってしまう事もありますので、注意が必要です。結婚式などの場合は一度だけで繰り返さないようにとの思いを込め、二度とほどけないように硬く結び、ほどくのが難しい「結び切り」という結び方を使用しますが、出産祝いや一般的なお祝いの贈り物などには何度あってもよいという意味から、何度でも結んだり結び直しができるという「蝶結び」を使用します。快気祝いでは、ケガや病気が再び繰り返しておこらないように、一度結んだらほどけない「結び切り」を使用します。水引の本数は5本で紅白の水引が一般的に多く使われ、7本のものを使う地域などもあるので、5本または7本と覚えておくと良いでしょう。ちなみに弔事の際は白黒、または双銀の色の水引2、4、6本と偶数のものを使用します。
表書きはどうすればよい?
表書きは何の目的で贈るかを記載する贈り物の目的(題名)のようなものです。水引の結び目の上に表書きを書き、結び目の下に表書きよりも気持ち小さめに送り主の氏名を書きます。快気祝いのお返しの場合、表書きは「快気祝」、「快気内祝」などと書くことが一般的です。退院はしたけれど、引き続き療養が必要などという場合は「退院内祝」「快気内祝い」と書きます。使い分けに十分気を付けましょう。「快気内祝い」に関しては完治の場合と引き続き療養が必要な両方の場合で使われることがあり、「快気内祝い」は主として退院したというお知らせのニュアンスが大きいといえるかもしれません。ケガなどが完治した場合などは「快気祝い」としましょう。表書きや氏名を記入する際は毛筆または筆ペンなどの濃い墨の色でしっかりと書くようにします。
「内のし」と「外のし」どちらを選ぶべき?
のし紙の付け方として、包装紙の外側から付ける「外のし」と、贈り物の箱に直接付けてその上から包装紙をかける「内のし」の2つの方法があります。「外のし」は表書きがハッキリと見えるので、結婚式や出産祝いなど誰からのものかがすぐわかるようにするのに向いています。「内のし」は包装を開けてはじめて誰からのお祝いかわかるというちょっと控えめな感じになります。快気祝いでは、お見舞いのお礼と自身の快復を報告するというものですので、控えめな「内のし」を使用します。
最後に
のしや表書きなどは用途により様々な使い分けができるものですので、便利ですが、間違えて使用してしまうと相手の方に失礼にあたってしまう事もありますので、せっかくご自身が元気になった報告とお見舞いをいただいた感謝の気持ちをこめて贈る快気祝いの品には、しっかりとしたマナーで十分注意して用意するようにしましょう。相手の方にとっても嬉しい報告と嬉しい贈り物になると良いですね。