喪主になるとやらなければいけない事や決めなければならない事が沢山あり、頭が混乱してしまうもの。そんな中、香典を参列者よりいただく喪主としてのふとした疑問で「喪主も香典を出す必要があるの?」や「いただいた香典はどのように扱えばよいの?」などという疑問が出てくることがあります。ここでは、そんなふとした疑問に役立てられるように、喪主と香典に関する基礎知識と共に、喪主や喪主の家族は香典を出す必要があるのか、そしていただいた香典はどのように使われるかなどに関してご紹介したいと思います。
喪主も香典は必要?
喪主とは葬儀の主催者です。香典はその主催者宛てに参列者が持って行くことになりますので喪主は香典を出す必要はありません。さらに喪主は通常、葬儀の費用も負担することとなりますので、その費用を負担する方が香典を出すという事もありません。ただし、葬儀の際の供花や供物など葬儀を華やかにするためのものに関しては喪主が負担して出す地域もあるようです。葬儀社の方とあらかじめ確認を取っておくことをお勧めします。
喪主の妻は香典を出す?
喪主の妻も遺族で喪家にあたりますので、香典を出す必要はありません。喪主が故人の他の子供(自分の兄弟など)であった場合は出す必要がありますが、香典を出す場合は別々には出さず、夫婦連盟となります。
※親戚関係のお香典は、個人ではなく「家単位」で考えるとわかりやすく、例えば、喪家(ご主人+妻)はお香典をいただく立場、義弟家は喪家以外の親族としてお香典を出すという感じです。
故人の子供は香典を出す?
故人の子供の場合、同居自分が喪主となる場合必要ありません。別居の子供(すでに結婚している)の場合は親族として一般的には5~10万円の香典を用意します。成人していても親と同居している兄弟などがいる場合はその遺族で相談してという形となりますが、香典だけでは葬儀の費用は到底賄えないことが多いので一般的には香典いというよりは葬儀費用として10万円ほどをだす、もしくは葬儀の費用より香典を差し引いた金額の中のいくらかを負担というケースが多いようです。
香典は相続税に(遺産)に含まれる?
香典は法的にも税務的にも喪主に贈られる(贈与)されたものと考えますので遺産に入れる必要はなく、遺産分割の対象にもなりません。また、香典は喪主に贈与されたものですが、贈与税も非課税となっているので、原則として課税はされません。その代わり、喪主は香典返しや会食などの葬儀費用を賄わなければならず、必ずしも香典で十分という事にはならず、むしろ不足することが一般的には多いです。この不足分を誰が支払うかに関しては特に決まりはありませんが、喪主に兄弟などがいない場合は喪主、妻が喪主の場合は故人(夫)の遺産から出す、もしくはその子供たちも一緒に不足分を負担するなど、地域やその遺族により、様々ですので、十分な話し合いが必要とされます。
香典が余ったら?
一般的な葬儀にはとても費用が掛かるため、通常ですと葬儀費用をいただいた香典で賄い、さらには香典が余るという事はとても少ない例です。しかし、故人の生前の身分やお付き合いの深さによっては多くの香典が集まり葬儀の費用を支払い、その上香典返しなどの諸費用を支払っても余りが出る場合もあります。一般的には喪主がそのまま預かり次の法事費用やこれからの供養のために使われることになります。余りが出たからと言って相続人で分けなければいけないという事はありません。ただし、葬儀費用をすべて故人の遺産から捻出した場合には葬儀費用は相続人全員で負担したことになるので、香典はすべて喪主が受け取るという事は問題が出るでしょう。葬儀費用を誰が支払うのかは法律では定まってはいませんので、葬儀費用に故人の財産をあてるのか、香典を当てるのか、それとも相続人がそれぞれ負担するのかはよく話し合う必要が出てきます。この香典返しは喪主として葬儀に参列してくださった方や香典をいただいた方に対してのマナーですので、しっかりと返礼するようにします。
香典返しの基本
香典返しは一般的には四十九日の忌明け法要迎えた後にお礼の品を贈ることを言い、その際にはお礼の挨拶状を添えて贈ります。また最近では、「早くお返しを済ませたい」や「渡し損ねのないようにしたい」などの理由により即日返しをされる葬儀も全国的に多くなっています。
●香典返しの予算
一般的には頂いた香典金額の半額から三分の一ほどの金額のお返しをします。親族からの高額な香典の場合は葬儀費用への気遣いという事も含めていただいている香典ですので、半返しの必要はないでしょう。各地域やその家の風習うなどにより異なりますが、お返しをされる場合、3分の一から4分の一程度が一般的です。
●香典の即日返し
葬儀へ参列していただいた方全員へ2,000円~3,000円ほどの品物を参列者の方全員へお渡しします。連名でいただいた方などにも代表者の方に連盟の人数分渡すことになります。10,000円以上の金額をいただいた方へは改めて忌明け法要後に即日返し分を差し引いた金額相当のお返しを別途することになります。
●香典返しでの品物
香典返しの品物は基本的に後に残らないもの、「消え物」がよいとされます。即日返しの場合などは、持ち帰るのにかさばらず、後で残らない消耗品または実用品などが良いとされています。忌明け法要後の香典返しなどの際は高額をいただいた方などにはカタログギフトなどご自身で選んでいただけるものも人気です。
最後に
葬儀は思っている以上に費用がかかり、その後の香典返しや僧侶の方へのお礼、会食費など様々な費用が必要になってきます。その為、兄弟や子供などがいる場合はお互いに助け合いの心を持つことも非常に大切です。ただ喪主にだけ仕事を押し付けるのではなく、故人が何の心配もなく送り出してあげられるように、事前の話し合いをしっかりとして、立派な葬儀が出来るようにしてあげることが一番の供養になるのではないかと思います。