お寺や神社は私たちが子供のころから何かの節目や年の初めなどに訪れる、とても身近な場所です。しかし、良く訪れるけれど、実際の正しい参拝方法を知っている人って意外と少ないのです。ここではお寺にお参りをするときに関しての正しいマナーをご紹介したいと思います。
お寺の入り口にある「山門」の通り方
お寺には「山門」と呼ばれる入口があります。神社でいうと「鳥居」にあたり、俗世と聖域の境界となります。そこでお寺には入る前には、帽子などのかぶり物はきちんと脱ぎ、衣服を整えたうえで仏様への敬意を表し、「これからお参りさせていただきます」と山門の前で一礼し、道の端を歩いて敷居をまたいで中へ入ります。
●手水舎(てみずや・ちょうずや)
山門を入って本堂へ行く前に手水舎があれば立ち寄り手と口を清めます。お寺では神社とは違い、この手水舎は必ずあるわけではありませんが、備え付けられているお寺はかなりありますので、自らを清めてしっかりお参りしたいですね。清め方は下記の順で行います。
- 右手で柄杓(ひしゃく)を持ち、水を汲んで左手をすすぎます
- 柄杓を左手に持ちかえ、右手をすすぎます
- 再度柄杓を右手に持ちかえ、左手に水を注ぎその水を口に含み口をすすぎます
(柄杓に直接口をつけないようにします。口は漱ぐだけでお水は飲まないでくださいね。口をすすいだお水は、口元を隠しそっと下に捨てます。) - 更に、柄杓を右手に持ちかえ、左手をすすぎます
- 最後に柄杓は、水をくむ部分を上にして立てて、残りの水で柄杓の柄の部分を流して元に戻します
一杯のお水で一連の動作を全て行うので、最初にたっぷりとお水を汲むのがポイントです。手水舎がないお寺では、そそのまま鐘楼(しょうろう)、常香炉、献灯の場所または本堂にすすみます。
●鐘をつく
本堂に行く前に鐘がつけるお寺であれば鐘をついても良いでしょう。鐘がある場所を鐘楼(しょうろう)といい、鐘をつくという行為は祖先の供養であったり、仏様へご挨拶をする意味、煩悩を散らす鐘といわれます。その響きを聴く者は一切の苦から逃れ悟りに至る功徳があるとされています。現在では時報を告げる鐘となっていることも多い為、大晦日の除夜の鐘をついたりする以外は一般の方への鐘をつくことを許可していないお寺が多いようです。もしも鐘をつく場合は手水舎で口と手を清めてから行きます。参拝を終えて帰るときに鐘をつくのは忌み嫌われている「戻り鐘」と呼ばれる行為なので必ず参拝前にするということをおぼえておきましょう。
●お線香をあげて線香の煙で身を清める
お寺によっては香閣(こうかく)や常香炉(じょうこうろ)が置いてあるところもあります。香閣や常香炉とは大きな香炉にお線香が供えてありその煙を手であおいで身体に当て、身を清めます。たいてい香炉の近くでお供え用のお線香を購入することが可能ですのでお線香をお供えしてから一礼します。この煙には身体の悪いところを治す力があるとも言われていて、現在では頭に煙を当てて頭がよくなりますように、などとやったりするあの場所です。
お線香に火をつけるときは持参したライターやマッチなどで火をつけることをお勧めします。備え付けのろうそくの火や他人から火を受けると、その人の業(ごう)も受けてしまうと言われているからです。
●本堂でお賽銭を入れ参拝します。
さまざまなお清めをしてようやく本堂でお参りをします。まずは本堂に一礼してからお賽銭箱にお賽銭をします。この時、よくお金を投げ入れる人がいますが、仏様へお供えするものですので、乱暴に投げ入れたりすることはせず、静かにお賽銭箱へ入れるようにしましょう。その後、上からぶら下がっている音を鳴らす仏具【鰐口(わにぐち)】があれば鳴らしてから、合掌・一礼をします。合掌をする際は、姿勢を正して目を閉じ、胸の前で手のひらを合わせます。神社とは異なり拍手は打たないので注意してくださいね。お祈りが終わったら再び一礼してお参りを終了します。
●山門を出て本堂に向かって一礼
お寺の中が広い場合などはその他のお堂などを回って再び山門から出て最後に本堂に向かって一礼してから参拝は無事終了ということになります。
その他の注意事項
お寺の境内は聖域となりますので、肌の露出の高い服装やサンダルなどでの参拝はできるだけ控えるようにします。写真撮影なども禁止しているお寺もありますので、参拝時には最低限基本的なルールは守れるように心がけましょう。
最後に
お寺は神社とは若干お参りのしかたも異なります。せっかくお参りに行くのであれば、今一度神社やお寺どちらに行くかによりお参りのしかたもしっかりマスターして気持ちよくお参りに行ってみてはいかがでしょう。