先祖供養と聞くと、実際にどのようなことをすればよいのかよくわからないと思う方が多いかもしれませんが、先祖供養にはその供養の意味や効果があるといわれているのをご存知ですか。近年ではお彼岸やお盆にお墓参りをする方が年々、少なくなって先祖供養というととても難しいことのように感じてしまうかもしれませんが、実際はとても身近な者であります。ここでは、先祖供養とは実際どのようなもので、基本的には何をすればよいか、そして先祖供養をすることによる効果などに関してご紹介したいと思います。
先祖供養とは?
先祖供養とは祖先の霊を供養する事で、そのために営まれる仏事の事を言います。実際にはお彼岸にお墓参りに行く事やお盆に先祖の霊を迎え入れたり送り出したり、もちろん自宅の仏壇などで読経したり、日々の報告と感謝の気持ちを伝える事なども供養にあたります。
日本の先祖供養はどのように始まった?
日本へは約1500年前に中国仏教が伝わり、明治になるまで漢文のお経だけが使われていました。そこにインド仏教と儒教それに日本独自の習慣とがバランス良くミックスされたものが、日本の先祖供養という形になりました。これは他の仏教国では見られないものです。日本では、お仏壇に仏様をまつり、ご先祖様のお位牌や浄土真宗などは法名軸(ほうみょうじく)をまつります。これは儒教の「霊廟」(れい びょう)とインド仏教のお釈迦様(仏)への供養がミックスされています。またお墓参りをしてご先祖様を供養する習慣も、インドのストゥーパ(卒塔婆)供養と、中国の先祖供養(祭祀)が結びついた形です。しかし、中国では、お墓参りは仏教とは関係がなく、よほどでないかぎり霊廟(日本の仏壇にあたる)にご本尊さまをお祀りしません。たしかにイン ドや中国の供養の考えが入っていますが、インドや中国のやり方どおりでないのが、日本の先祖供養の特徴です。
先祖供養は基本的に何をすればよい?
祖先供養は人それぞれで、やり方もさまざまですが、毎日の日常で簡単な事からも出来ますし、年中行事としてお墓参りに行く事も先祖供養となります。
自宅にお仏壇がある方はは毎日掃除をし、お線香をお供えし、お花を飾ったりして清潔な状態を保ちます。そして食事をされる前などに毎日一回食事をお供えすることから先祖供養ははじめることができるのです。
自宅にお仏壇などが無い場合やお墓参りへ行くことができなかった場合などはお部屋にお水と塩を置いて合掌したり、“今の自分があるのはご先祖さまのおかげです”という気持ちで、ご先祖様に感謝の気持ちを念じます。仏壇にご飯や水を供えたり、墓前に花を飾ったり、読経をしたり、法事で僧侶に読経をしてもらうことも先祖供養です。そういったものをすべて供養と考えて、故人やご先祖様が少しでも喜ばれるように、安らかになるように、そう願って供養をすることが先祖供養の基本となります。
先祖供養で大切なことは「感謝の気持ちを伝えること」
本当の意味での先祖供養とは、ただ形式的にお墓参りをすることではなく、日々の感謝の気持ちを思いをもって語り掛けることです。そうすることでご先祖様に私たちの声は届くと言われています。よく「ご先祖さまに恩返しをしなければ」などと耳にする方もいらっしゃるかと思いますが、なぜ恩返しなのかというと、たくさんの先祖のうち、1人でも欠ければ、自分が生まれてくることはなかったからです。ご先祖様に恩返しをするにはご先祖様が望んでいる事、すなわち私たち自身が正しく幸せに生きていくという事であって、日々幸せに生きているという事はあの世にいるご先祖様が、私達子孫をいつも見守ってサポートしてくれているお陰といっても良いのではないでしょうか。自分の心がざわついていたり、なぜか眠れないときなどは御先祖様が何かを伝えようとしているときかもしれません。そんな時はお墓参りやご先祖様の事を念じながら現在の自分の行いを見つめなおす良い機会かもしれません。ご先祖様はあなたが何を考えているかや、どのようにすれば良いかのヒントをくれるかもしれません。大切なことは日々の生活に対してあなたが平穏に暮らしていけていることへの感謝の気持ちをご先祖様に伝えることが一番の先祖供養となるのです。
先祖供養の効果
昔から先祖供養を行うと、自分や自分の家族に良い効果や運気が上がるなど、悪い「気」の流れが良い方向へ向くといわれています。科学的に証明されているわけではありませんが、実際にお墓参りや先祖供養をすることにより気分が一新し、今までとは違った良い空気が自分や家族に流れて来たりするということを感じたことがある方は多いのではないでしょうか。仏教でも先祖供養をすることにより自分達にも徳が返ってくるという教えもありますので、何か行き詰っていたり、「気」の流れを変えたいときなどは先祖供養をいつも以上に丁寧にしてみたり、お墓参りに行ったりするのもよいかもしれません。
最後に
今までは親と一緒に暮らしていて家にある仏壇に気の向くままにお線香をあげていた方も、自立して自分で家庭を持つようになったときには、仏壇や神棚などを自宅に置き、ご先祖様の霊をお祀り出来る様になると ご先祖さまも喜ばれることでしょう。ご先祖様の霊は決して本家だけが祀れば良いというものではなく、ご先祖様から見るとたくさんの子孫の家に自分達を祀る祭壇がつくられることは、自分の子孫の所へ時々訪問できる別邸が出来るようなものであり、喜ばれるのです。