皆さん先祖供養と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?ご先祖様の霊をしっかり供養しないと災いが起きる、または自分や自分の家族などに災いが絶えないときなどに、「先祖供養をしっかりとしないから災いが起きるのだ」などと世間では言われることが多いです。では、先祖供養とは一体どのようなことをすればよいのでしょう。ここでは、先祖供養をしないと本当に災いが起きるのかという事や、先祖供養に関してなど詳しくご紹介したいと思います。
そもそも災いとは?
災いとは、病気や天災、盗難など人を不幸にする出来事をいいます。そして自分の身や家族にいつも不快な事が起き、さまざまな事がうまくいかなかったりする事を言います。
先祖供養とは?
まず、供養という言葉が意味することは見返りを求めずに相手の事を想うことを言います。お供え物などをするだけではなく、供養したい相手の事を想い、思い出話をしたりお墓参りしたりすることも供養の一つです。供養とは一番に、供養をする人の心が大切だといわれます。
そして先祖供養は供養に先祖がプラスになるという事で、自分のご先祖様を供養することを言います。ご先祖様の想いは、現世で生きている私達にさまざまな形で影響していると言われています。もちろんご先祖様は我々子孫を大切に思ってくださっていると思いますが、その子孫がご先祖様を大切にしないと不安や不満に思い、子孫へ災いが起こったりするという言い伝えもあります。供養をするというのは、ただ形式的に祈りに行くというだけの行為ではなく、気持ちのこもった祈りを送ることです。
先祖供養をしないと災いが起きるって本当?
先祖供養をしないと災いが起きるという事は、実際にご先祖様が災いを下されるわけではありませんが、実際にご先祖様の眠るお墓がお墓参りに行くことなく荒れ放題だったり、家にある仏壇も手を合わせることもほとんどなく埃だらけなどと言う方などは、身体の調子が日頃から悪かったり、思うようにことが運ばない、家族にも悪い事ばかり起こる・・・。そんな時、身近なお寺の僧侶の方などにお墓参りへ聞くことや日頃より仏壇のお掃除をして差し上げる、自分のルーツとなるご先祖様を知ろうとするなど、ちょっとしたことから先祖供養を始めることにより、それらの災いが改善したという人は後を絶ちません。先祖供養とは「自分がこの世に産まれることができたのは、ご先祖様のおかげです」という感謝の気持ちをもってお墓参りをする事です。そして災いがあると感じている余裕のない自分自身を見つめなおし、より平和に安定させ、自然と周囲との調和を保っていく事と、思いやりやゆとりをもう一度見直すことで人間特有の執着が徐々に薄れ災いが良い方向へ転換していくのではないでしょうか。
ご先祖様が喜ぶお墓参りの仕方とは?
ここでは知っているようで知らない事も多いお墓参りの仕方をご紹介します。ここで正しいお墓参りの仕方を見直し、故先祖様の喜ぶお墓参りをしていただければと思います。
●まずは自分を清める
お墓参りに行ったときはまず、本堂や本尊にお参りし、ご住職に挨拶します。霊園の場合などでしたら管理局などに日頃の管理のお礼の挨拶をされても良いでしょう。その後、手水舎(ちょうずや/てみずや)がある場所であれば、そこで手洗いをし、清めます。通常はてを洗う場所に手桶やひしゃくが置いてあるのでお借りして手桶に水を汲んでお墓まで行きます。
●お墓の掃除
お墓の前で両手を合わせ合掌礼拝してからお墓の掃除をしましょう。お掃除はお墓の周りの雑草取りや墓石、植木や花立てなど細かいところまできれいにします。お掃除の際に注意することは墓石をたわしなどで力いっぱいこすらない事や汚れがひどいからと言って、家庭用の洗剤などで洗う事は避けた方が良いといわれます(墓石に傷が付いたり、傷みの原因となるため)。
●お供え物をお線香と共にお供えします
お供えのお花は1対(2束)用意し、墓石を挟んで左右対称に置きます。お花を花立に挿す前に花バサミで茎の長さや見た目の形を調整しお供えします。お供え物のお菓子や果物などは半紙の上に置きます。何をお供えするかは皆さんそれぞれで構いませんが、故人の好きであったものや、季節の食べ物、お菓子などをお供えされると良いでしょう。飲み物に関しては、お酒など、故人が好きであったものであれば、お供えしても構いませんが、墓石にかけることなどはしないようにします(墓石が変色してしまったりする原因となるため)。
その後、束のお線香に火をつけ、線香立てにお線香をお供えします。お線香の本数やお供えの仕方は宗派やその家のしきたりなどにより異なりますので、自分の宗派やしきたりでお供えします。注意する点はお線香に火をつけ、火を消すときに口で吹き消さないようにすることです。人間の吐く息は仏の世界では不浄なものとされているため、手で扇いで消すこともマナーが良いとはいえません。簡単に消す方法は火のついたお線香を上から下にスッと下ろすことを2,3度繰り返すと火は簡単に消えますので是非試してみてください。
●合掌・礼拝
お線香をお供えした後に、ご先祖さまや故人の冥福を祈り、日頃の幸福に感謝と共に近況の報告などをしたりします。墓石よりも低い姿勢でのお参りがマナーですので、軽くしゃがみ、両手をあわせます。一番大切なことは些細な事でも構いませんので「日頃の感謝の気持ち」と「現在ご先祖様のおかげでここにこうしていられるという喜びとお礼」を伝えることです。そうすることで、きっとすっきりとしたクリアーな気分になり、今まで気が回らなかったことなどにもゆとりが出てくることでしょう。お参りが終わった後にはお供えした食べ物や飲み物は下げて、持ち帰るようにします。
最後に
先祖供養として一番に思い当たることはお墓参りだと思いますが、お墓参りだけが供養とは限りません。お墓参りに時間があまりなくいくことができなかったとしても日頃の生活にご先祖様を思いやる時間を取ることができれば自分自身を見つめる事にも繋がり、災いなどという事からは遠くなっていくものではないでしょうか。今いる自分がこの世に産まれることができたのは、ご先祖様のおかげという事をいつも忘れないでいたいものです。