お世話になった上司または同僚や部下が退職する際に、今までお世話になった感謝の気持ちを込めて贈る「餞別」 自分が部署のまとめ役になったけれど、「餞別に関するマナーをあまり良く知らなくて困っている…」なんていうことってありますよね。今までお世話になった方へは、しっかりと失礼のないマナーでみんなからの感謝の気持ちを贈りたいと思うのは皆さん同じです。ここでは、社会人として知っていて損のない退職の餞別に関するマナーや贈っては失礼にあたるプレゼントなどに関してまとめてご紹介したいと思います。
餞別とは?
餞別とは、今までお世話になった方との別れの際、新しい門出の際に金品や品物を贈ることをいいます。餞別の「餞」は「はなむけ」と読むことができ、昔旅に出る人の道中の安全を祈って、馬の鼻を目的地に向けて見送る習慣があった事などから「馬の鼻向け」という言葉の鼻向け(はなむけ)が餞(はなむけ)という言葉をあてて「餞別(せんべつ)」という言葉、意味になり、遠くに旅立つ人へ、新しい門出を祝って贈る金品や品物のことをいうようになりました。ここでの退職の餞別は今までお世話になった方に対する感謝の気持ちと、新しい門出などを祝って贈る金品のことをいいます。
退職の餞別は「現金?」それとも「品物?」
餞別というとお別れの際に今後の道中の足しにしてほしいということで現金を贈ることが多いように感じますが、退職の餞別は旅行に出るわけでもありませんし、今後遠くへ行って会えなくなるということでもないため、現金を贈るか品物を贈るかに関しては特に決まりはありません。ただし目上の方の場合、現金を贈ることは失礼となることがあるため、上司の方などの退職の餞別には現金より品物を贈る方が多い傾向にあります。
退職の餞別を贈る際のマナー
●退職の餞別の相場
退職祝での餞別は渡す相手との関係や役職、勤続年数などによっても変わってきますし、個人なのか連名で渡すのかでも金額は変わってきます。
・職場の上司に贈る場合
個人で3千円から5千円、連名で贈る場合は一人当たり千円から三千円程で2万円から3万円程の品物を贈ることが多いです。上司のように目上の方へ現金を贈ることは失礼にあたることがあるため、記念に残る品や上司の趣味・嗜好に合う品物を贈ることが一般的です。花束と品物というケースも多いですね。
・同僚や部下に贈る場合
個人で3千円から5千円、連名で贈る場合は一人当たり500円から2千円程度で1万円から2万円程度の品や現金を贈ります。部下や同僚の場合はどのような状況で退職するかにもより現金か品物どちらが良いかを決定すると良いですね。例えばキャリアアップのための退職であれば新しい環境で使うことができる品にしたり、健康状態や家の都合で退職される場合は現金にしたりするなど職場の方と相談して決定します。
●のし紙や表書きはスマートに
のし紙は必要か、必要ないか、そして表書きはどのように書けばよいかなどちょっと難しい気がしてしまいますが、退職の餞別では表書きは「御餞別」とはしないので注意が必要です。退職の理由により表書きは変わってきますが、定年であれば「祝定年御退職」「御礼」など、一般的な退職は「御礼」「おはなむけ」などとすると良いでしょう。水引は紅白の蝶結びのものを使います。結婚退職される場合の水引は、紅白の結び切りを使用し、仕事の退職よりも結婚を祝いますという気持ちを込めて、「御結婚御祝」「祝御結婚」などとするのがおすすめです。
●餞別を渡すタイミング
会社など部署全体で渡すときには、メッセージや寄せ書きなどを事前に書いて用意しておき、送別会などが行われる日に渡すと良いでしょう。特にお世話になって個人的に餞別を渡す場合には、タイミングを見てあまり人前ではない場所で感謝の言葉と共に渡してみましょう。会社を退職する日に品物を渡すのは個人の荷物などがあり迷惑になってしまう事もあります。しかし、あまり早い時期に渡してしまうと「早く出て行ってほしい」などととらえられてしまう可能性があるため退職される日の1~2週間ほど前の時期に渡すと良いでしょう。
退職の餞別で失礼にあたる品
退職での餞別にはあまり贈らない方が良いとされるタブーな品があるのは御存じでしょうか。知らないで贈ってしまうとせっかくのプレゼントが相手の方に不快な思いをさせてしまったり、失礼にあたってしまったりすることがありますので、しっかりとチェックしてから品物を選ぶようにしましょう。
●目上の方に失礼にあたる物
どんなお祝い事でも目上の方へ「現金」を贈ることはタブーとされることが多いので、注意が必要です。昔に比べ、それほど厳しい目で見るという方は少なくなってきていますが、「商品券」や「ギフトカード」も現金同様ですので控えた方が良いという意見などが出るかもしれません。カタログギフトに関しては、金額などはわかりませんので失礼ということにはなりませんが、人によっては贈り物を考えることを怠ってカタログギフトにした、などを考えてしまうご年配の方もいらっしゃるので、周りと十分相談した上で品物を選ぶことをお勧めします。
●踏みつけて使うもの
贈り物として、踏みつけて使うものをプレゼントすることはタブーとされることが多いです。スリッパや足ふきマットなど「踏みつける」という意味で取ってしまうことが多い品は、間違った意味で捉えてしまう方もいる為、特に目上の方のお祝いとしてはふさわしくありません。
●別れを連想させるもの
餞別は感謝の気持ちを伝え新しい門出をお祝いする事ですので、別れを連想させる品はあまりふさわしいとはいえません。例えばハンカチは漢字で書くと「手巾」(てぎれ)と書くことから「手切れ」「縁起り」を連想させるのでお祝いのプレゼントとしてはタブーといってよいいでしょう。
●ビジネスアイテム
退職して新たな道に進む場合、時計や万年筆などのビジネスアイテムを贈ると「もっと勤勉になりましょう」的なメッセージが込められている為、特に目上の方へのプレゼントには注意が必要です。
●苦労や死を連想させるアイテム
退職のプレゼントで渡すことはあまりないかと思いますが、苦労や死を連想させる品は避けるようにします。例をあげると「苦」や「死」を連想させるといわれる「櫛(くし)」、そして弔事の引き出物などで良く贈られる「お茶」などは慶事の贈り物には不向きとされています。花束をプレゼントする際にはシクラメンの花も「死や苦」を連想させる花としてお祝いの場ではタブーです。
最後に
この記事を参考にして、上司や同僚など共に仕事での貴重な時間を過ごした人に「お疲れさまでした」という労いや感謝の気持ちを込めてしっかりとしたマナーで餞別を贈り、これからの素敵な餞(はなむけ)として送り出してあげてください。