葬儀に参列いただき香典を頂いた方へ四十九日の忌明けの法要が済んでから、法要を無事終えた報告を兼ねて忌明けの挨拶を手紙と香典返しの品と共に贈ります。ここでは香典返しに添える手紙や挨拶状の書き方、マナーについてご紹介したいと思います。文例も参考にしてご自身にあった手紙やお礼状を感謝の気持ちを込めて作成してみてはいかがでしょう。
そもそも香典返しには手紙やお礼状を添えなければいけないの?
香典返しに添えるお礼状や挨拶状は、葬儀に参列いただき、香典を頂いた方々へのお礼や感謝の気持ちと、四十九日の忌明け法要が滞りなく済んだことをお知らせするとても大切なものです。香典返しとは本来、喪主が香典を頂いた方々を訪問し、直接お礼を述べるものでしたが、現在では直接お礼を述べること(地域性や人々の忙しさなどから)が難しくなっているという事もあり、かわりに感謝とお礼の気持ちを込めた手紙(お礼状)を香典返しの品物に添えて贈るようになりました。手紙(お礼状)が必要ないのでは?と思われる方も、忙しい中 故人のために葬儀に参列いただき香典を下さったという事を考えるとやはり感謝の気持ちと忌明けの法要が滞りなく済んだことの報告を兼ねて手紙(お礼状)は添えなければ失礼にあたると言っても良いでしょう。香典返しを受け取った方も手紙(お礼状)をみて“無事忌明けの法要が済んだのね”、などと安心してくださることでしょう。
お礼状は手紙でなければいけないの?
本来は巻紙タイプの奉書紙に手書きで書くことが多かったようですが、時代の流れと共に手書き文書ではなく印刷であったり、香典返しを購入するお店などで例文を選び作成してもらうなど様々なサービスがあるようです。そして奉書紙に書くお礼状だけではなく、昨今ではあまり大げさにしないで感謝の気持ちとお礼を簡素に伝えたいという事から、カードタイプの略式お礼状(挨拶状)なども増えてきています。
お礼状、挨拶状などの手紙を書く時の注意点は?
香典返しのお礼状(挨拶状)を書く際には使う言葉や書き方にちょっとしたマナーがあります。
●重ね言葉(繰り返しの)は使わない
「重ね重ね」や「ますます」など重ね言葉は「不幸が重なる」という意味合いになるため、重ね言葉は忌み言葉とされています。重ね言葉と同様に、繰り返すことを連想させる言葉も使用してはいけません。葬儀などの悪いことが繰り返されないようにという意味が込められています。
●文面で句読点は使わない
香典返しのお礼状(挨拶状)は基本的に縦書きで書きますが、本来縦書きの手紙には句読点は使わない事をご存知でしょうか。さらに弔事でのお礼状や挨拶状で句読点を使う事には、文章を「止める」という意味合いがあるので、句読点を打たないことで、法事がつつがなく進むようにという意味も込められているといわれます。
●忌み言葉は使わない
通常忌み言葉は葬儀に参列する人が遺族に対して使わないよう気を付けるようですが、遺族としても忌み言葉は「縁起が悪い」と受け取られてしまう言葉なので使わないようにします。忌み言葉は言い換えて使えば問題ないので言い換え表現をご紹介します。
- 終わる/お開きになる」「結ぶ」
- 最後に/結びに
- 別れる/独立する、新たな道を進む
- 「月日が流れる」/「月日が経過する」
- 「病に倒れる」/「変調をきたす」
- 「患う」/「変調をきたす」「療養する」
- 去年/昨年
- 泣く/涙する
- 生きていたころ/生前、元気なころ
●正しい敬語を使う
ていねいに書こうとしてつい間違ってしまうのが、敬語の使い方です。あまり大げさに考えず、遺族の感謝が伝わる内容であることを一番に考え、例文などを参考にされると良いでしょう。
香典返しと忌明け法要の手紙・お礼状例文
例文1
謹啓 皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて先般 亡父○○の葬儀に際しましては
ご懇篤なる御弔詞ならびにご厚情を賜り厚く御礼申し上げます
本日 ○○院○○○○
七七日忌法要をとどこおりなく相営みました
つきましては供養のしるしに心ばかりの品をお届けいたしましたので
何卒ご受納くださいますよう お願い申し上げます
本来拝趨のうえ ご挨拶を申し上げるべきところ
略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
謹白
例文2
拝 啓
先般の亡夫○○の永眠に際しましては
ご丁寧なお心遣いと過分な御香料を賜りまして
ありがたく厚く御礼申し上げます。
お陰をもちまして先般四十九日の法要を滞りなく済ませることができました
故人生前中のひとかたならぬ御厚情に心より感謝いたしますとともに
心よりお礼申し上げます
ささやかではございますが 感謝の気持ちをこめて
心ばかりの品をお届けさせていただきました 何卒お納めください
まずは略儀ながら書中を以て御礼のご挨拶とさせていただきます
敬具
最後に
お礼状・挨拶状は喪主や遺族の感謝の意を伝えるものです。挨拶状の形は多様化しても、直接お礼を申し上げることができないかわりに感謝の気持ちを伝える役割であることには変わりはありません。香典返しは地域性やその家の習慣などにより様々なしきたりがあることがありますので、その地域の習慣やしきたりに詳しい方に相談しながら送る相手に失礼にあたらないような贈り物をしていただきたいと思います。