上棟式(じょうとうしき)は家を建てる途中の段階で家を建ててくれている大工さんや関係者の方たちへ感謝の気持ちを表すということで執り行う儀式です。念願の新しい家を建てることになったので、上棟式をする事になったけれど、はじめてのことなので「いつ、どのような事をすればよいかわからなくて困っている…」 実際に「上棟式はしなければならないの?」などと悩んでしまっている方も多いのではないかと思います。ここでは、上棟式とは実際に「どのような事をすればよいか」や、「どのタイミングで行うのか」などをご紹介していきたいと思います。
上棟式とは?
まず初めに上棟式(じょうとうしき)とは、建物の建築の際に行われる祭祀(さいし)で、棟上げ(むねあげ)、建前(たてまえ)、建舞(たてまい)などとも言われています。一般的には柱、棟、梁などの基本的な部分が完成して棟木(屋根の骨組みの一番高い部分に用いられる水平材)を上げるときに上棟式をします。上棟式のやり方は神道式や仏教様式などがあるとされていますが、式の方法や流れは地鎮祭のように神職さんを呼ぶケースも少ない為、地域や風習によりその執り行い方も様々です。建物の守護神や工匠(こうしょう)の神をお祀りし、今までの工事の無事に感謝し、新しい住まいに災厄が起こらないように祈る儀式及び施主が工事をしてくれている職人さんに対して感謝の気持ちを表す目的で執り行う儀式です。
どのタイミングで上棟式をする?
建物の構造や建築方法によって異なりますが、一般的には
木造建築:棟木を棟に上げる・上げた時
鉄骨造り:鉄骨工事が終了したとき
鉄筋コンクリート造り:躯体コンクリートの打ち込み(建物の構造を支える骨組)が終了したとき
日取りの決め方はどうしたらよい?
日取りや執り行い方は家の販売会社の担当や棟梁と相談して決定することになりますが、週末や祝日は避けご近所などに迷惑をかけたり職人さんのお休みを邪魔しないように施主として配慮が必要です。その他、昔からある迷信の一つとして「三隣亡(さんりんぼう)」という選日(の日の吉凶を十干十二支の組合せによって占う日)があります。三隣亡とはこの日に建築関係の事を行うと三軒両隣まで焼き滅ぼすなどと言われ、建築関係者の大凶日とされているので自分が気にしていなくてもご近所さんが信じていて、気になるという方もいると思いますので、この日取りも避けた方が無難かもしれません。ここでは三隣亡の選日方法は省略しますが、ネットで「○○年三隣亡の日」などと検索すると日取りがすぐにわかります。
上棟式はどのような事をするの?
上棟式はその土地や地域の習慣などにより執り行い方なども様々で、本格的な上棟式は大変ですし費用も掛かりますので、現在では略式の上棟式をする事がほとんどです。屋上に祭壇を設けそこで祭祀を行うものや、祭壇のみ屋上に設けて祭祀は地上で行ったり、祭壇も祭祀も地上で行うものなどがあります。略式の上棟式は地鎮祭とは違い、神職が来ることは少なく、施工会社の棟梁や工務店、現場監督者などが神職の代わりに式を進めることが多くなります。
・建築主と棟梁が、建物の四隅の柱に酒や塩、米、山や海の幸などをまいて清めます
・棟梁が棟木を最頂部に取り付ける作業が行なわれ、災いが起こらないように祈願
・施主の挨拶・乾杯
・棟梁や建築関係の方の挨拶
・ご祝儀を配る
・手締めを行う(いっ本締め)
・引き出物を配る
上記がごく一般的に行われている内容の一つです。その他地域によっては屋根の上から小銭や餅、お菓子をまき、ご近所の方をもてなす習慣があるところもあります。現在は建築する際の職人さんをおもてなしする「感謝の気持ち」を表し執り行われているようです。
上棟式は必ず行わなければならない?
上棟式は必ず執り行わなければならないものではありません。しかし、棟梁や大工さん方への感謝の気持ちを表す意味で行われるものですので、引き続き自分たちの家を作ってくださる大工さんたちにおもてなしをする事により、直接お話を聞いたりすることもでき、より良い信頼関係を築くことができる場でもあるので、どんなに略式でも構わないので上棟式は必要なことかもしれません。
最後に
現在型の上棟式は略式で執り行うことがほとんどで、その執り行い方も形式ばったものではなく、施主から働いていただいている大工さんや施工業者さんへの感謝の気持ちを表す行事です。式の流れを取り持っていただく棟梁または現場監督さんなどとしっかり相談の上、皆さんに喜んでいただける上棟式を執り行っていただければと思います。