喪主として葬儀の主催をすることは、長い人生のなかでもそうそうある経験ではありません。突然のことに「何をどうすれば良いのか…。」と戸惑う事がほとんどだと思います。喪主は故人との縁の一番深い人が通常なりますので、悲しみや動揺も人並み以上であるにもかかわらず、すること、しなければならないことは山ほどあります。日常のことは段取りよくできても、はじめての喪主でいつものようにすべてがうまくいかないのは当たり前です。ここでは喪主とはどのような立場なのか、そして喪主の意味や故人の逝去から葬儀が終わるまで、どのような流れで進んでいくのか、どのタイミングで何をすれば良いのかの基礎知識をご紹介したいと思います。
喪主とは?
喪主とは遺族の代表者であり、葬儀を主催する立場の人の事を言います。昔は長男が相続の関係などにより喪主になることが当たり前でしたが、現在では喪主にふさわしい人は故人と一番縁の深い人がなることが多くなっています。夫婦の場合、夫または妻が喪主になったり、亡くなった両親と長女が同居していたため長女が喪主になるという事は決して稀ではありません。
喪主の仕事の役割
喪主の一番の仕事の役割は葬儀の内容の取りまとめと弔問客、僧侶への対応、すなわち弔問を受けることが一番の重要な役割となります。喪主は遅くともお通夜の前までには家族、親族で話し合って決定します。喪主は遺族や近親者と協力して葬儀費用を捻出したり、弔問、会葬者への挨拶や配慮をしたりします。
喪主の主な仕事とその流れ
●大切な人の逝去
医師から死亡診断書をもらいます。
●葬儀社の選別、見積もり及び決定
哀しみの真っただ中で時間もない事は山々ですが、出来れば葬儀社は何社かの見積もりを取り、どのような内容が含まれているかのかや、葬儀社の対応を自分の目や耳で確かめることが必要です。中には悪い業者もありますので、葬儀社の言われるままですと、どんどん追加費用が加算されたり、聞いていないという事が後から出て来たりで葬儀の際に不愉快な気持ちになってしまう事もありますので、事前にできる限りのことを確認してすっきりと葬儀を行えるようにしましょう。
●故人の遺体搬送
故人の遺体を自宅、もしくは安置施設のどちらに搬送するかを決定します。この時点ですでに葬儀社を決定し、搬送は葬儀社の方に行ってもらいます。
●葬儀社との打ち合わせ
葬儀社を決めてから、お通夜、葬儀の費用、場所、日時、スタイルを決めます。出来ればこの時点までに喪主を決定して葬儀社との打ち合わせを行います。そして故人の遺影をどの写真にするかなどの選別も始めます。
●葬儀に参列してもらう方への連絡
葬儀に参列者していただきたい親戚及び個人の知人、友人、葬儀の際に来ていただく僧侶へ連絡し、大体の参列人数を予測します。
●お通夜及び葬儀の内容決定及び手配
ここでは様々な手配の準備及び決定しなければなりません。
- お通夜の際の通夜振る舞いの料理及び飲み物
- 会葬御礼品決定(ハンカチや乾物などの会葬者全員に配られるもの)
- 返礼品決定(香典返しを当日する場合)
- 葬儀の際の仕上げ料理の手配及び飲み物
- 供物や供花の手配
●納棺及びお通夜
僧侶や参列者の対応をします。
●お通夜での弔問客、僧侶対応及び挨拶
お通夜終了の挨拶と通夜振る舞いの際の挨拶を事前に考えておきましょう。挨拶のどちらかは喪主のお手伝いをしてくれる葬儀の進行係ともいうべき、世話役代表におねがいする場合もあります。お通夜もしくは葬儀の際に僧侶へお布施をお渡します。
●葬儀での会葬者、僧侶対応及び挨拶
葬儀の際、告別式の出棺時に喪主が挨拶をします。ここでの挨拶は故人の生前の事や亡くなる際のいきさつなどを簡素に交えて会葬者の方々に故人に代わってお礼を述べます。
仕上げ料理(精進料理)もある場合はそこでも簡単な挨拶がありますので、喪主本人または遺族、世話役代表と相談して誰がするかを事前に決定しておきます。
●葬儀終了後金銭の管理及び支払い
香典の集計や葬儀費用の支払い、などの金銭管理をします。
●葬儀終了後の後片付けやお礼
葬儀終了後は遺骨をもって帰宅。葬儀後の諸手続きを済ませます。
●忌明け法要の準備
四十九日法要の準備や香典返しなどの返礼品準備に取り掛かります。
最後に、
葬儀に関する最終決定権を持つのが喪主です。喪主がどこからどこまでやらなければいけないのかという決まりはありませんので、葬儀全般の実務は世話役代表や葬儀社などに任せ、葬儀当日は出来るだけ参列者の方々及び僧侶への対応が出来る様にします。お葬式は「死」を再認識する機会といえます。お葬式を通じて、生と死の重さを知り、故人に寄せる想いなど改めて感じ、いのちの尊さを再度認識する機会とも言えます。お葬式をあげることで故人に関する人々の一つの心の区切りとなります。そんな故人にとって最後の葬儀をできる限りで盛大に執り行ってあげたいものです。少しでも喪主の仕事を理解して、立派な喪主を務めていただければと思います。