喪主や施主という言葉は聞いたことがないという方もいるかもしれません。突然葬儀になって、初めてその意味やどのような事をするのだろう?と疑問に思う方も多いかもしれません。実際に喪主と施主はとても似たような立場ですが、よく調べてみると実はその内容には違いがあります。一般的な葬儀ですと喪主が施主を兼任することが多い為、混同してしまいがちですが、ここでは喪主と施主の違いや役割についてご紹介したいと思います。
施主と喪主とは?
一般的な葬儀には喪主と施主がいます。個人葬では、喪主と施主が同一人物になることが多いですが、別々の人を立てても問題はありません。個人葬の喪主や施主は、配偶者や長男が務めることが多いですが、法律で決められているわけではなく、基本的には、遺族であれば誰がやっても問題はないとされています。
●喪主とは
喪主とは葬儀を執り行うときの喪家の代表者です。
葬儀を主催するものとして、葬儀社との打ち合わせやお通夜、葬儀への参列者の方々への挨拶など葬儀に関すること全般を執り行います。「葬儀の代表」と考えていただけるとわかりやすいと思います。また、喪主と施主を兼任する場合、葬儀の費用を負担し、香典返しなどもしなければなりません。
●施主とは
施主とは葬儀やその後の法要を営む運営の代表者です。
施主とは「御布施をする主」から来ており、葬儀やその後の法要(四十九日、初彼岸、新盆、一周忌等)の費用を負担し、運営する立場になります。「運営の代表」と考えていただくとわかりやすいと思います。社葬の場合には喪主は遺族の方が努め、施主は会社がなります。社葬では葬儀委員会を設立し、葬儀委員長などを会社の代表者が努め、葬儀を執り行う際は喪主、施主、葬儀委員長が協力して葬儀を執り行うことになります。
喪主は通常 誰がするの?
一般的に、喪主も施主も誰がしなければいけないという法律などはありません。そして誰がしなければならないという決まりもありません。一般的には故人と一番近い人(血縁が近い人)が喪主になることが多く、配偶者、故人の子供(長男)、故人と一緒に暮らしていた人、故人の兄弟などが務めることが多いです。
戦前の家督相続では、墓や仏壇等の祭祀財産も含めたすべての財産が長男一人に承継されていた為、喪主は長男と決められていましたが、現在は、祭祠権と財産権が分離され、財産は配偶者、子供、兄弟などの直系親族に分配されるようになったので、喪主と施主が分けて考えられるようになりました。しかし、現在でも多くの場合は喪主と施主は兼任されることが多いです。喪主と施主が兼任しているとメリットもあり、葬儀社との打ち合わせの際など、喪主と施主が同一人物であると、話し合いがスムーズに執り行えたり、家族での話し合いの際に代表者として権威があります。ただし、配偶者が亡くなり、その夫や妻が高齢な場合などは喪主をその子供がなったりする場合もあります。いづれにしても当主が喪主になるという事が基本と考えていただくと良いかと思います。
喪主や施主も供花を出す?
喪主になったのは良いけれど、喪主も葬儀の時に供花を出した方が良いのでは?という事が親戚の中での話し合いに出て来たりして戸惑ってしまうという事は良くあります。喪主は葬儀の主催者なのに供花を出すの?などと疑問に思ってしまう方も多いかと思いますが、実際の所は出してはいけないという決まりもありませんし、出さなくてよいという決まりもありません。地域によっては決まっている所もあるようですが、その場合はその地域性に従っていただくと良いでしょう。あくまでも自身の気持ちと葬儀の華やかさをいかに演出するかという事になるのだと思います。一般的には喪主の名前で供花を出す地域は少なく、「親族一同」または「子供一同」などで一対供花を出すという事が多いです。その他、籠盛りのお供え物などを喪主が出す地域もあります。
供花の順番を決めることも喪主の仕事です。供花は主に祭壇の両脇にお供えをしますが、一般的には故人の血縁関係の近い順番に祭壇を挟み右側から左側へと順番に並べていきます。供花やお供え物をいただいた方へは後日お礼状とお返しをしなければなりません。供花やお供え物をいただいた方のリストなどをしっかりと作成し、後日のお返しなどをしっかりと忘れずに出来る様にしましょう。
最後に
葬儀を執り行うのは遺族にとってとても大変な事であり、喪主と施主を兼任する方にはさらに負担がかかります。周りの親族の方も他人事にはせず、喪主の手助けをして故人のための素晴らしい葬儀を執り行っていただければと思います。