社会人として働いていると、転勤や異動、退職などでいつもの職場から別の職場へ行くことになったり、地方への転勤で引っ越しをしなければならないなど、さまざまな出来事があると思います。そんな時にいつもお世話になっている同僚や職場の先輩、後輩などから餞別を受け取ることも長い人生の中では何度があるかもしれません。そんな時、お礼はどのようにしたらよいのか悩んでしまうことってありますよね。ここでは、餞別をいただいたときにどのようにお返しをすればよいか悩んだときや、餞別に対するお礼状の書き方、例文などをシチュエーション別にまとめてご紹介したいと思います。
餞別にはお返しが必要?
以前の餞別とは、別れの際の餞(はなむけ)として金品を贈られました。餞別を受け取った方は旅立って、また再び会う事が出来るかわからないという状況で贈ったものですので、餞別に対してお返しは必要ないとされていました。
現在では昔のように一生会えないかもしれないという別れになるということはほとんどないと思いますので、贈る側も餞(はなむけ)と今までのお付き合いなどに感謝する事や、これからの新しい門出を応援する気持ちで餞別を贈るものと変化してきています。
そして、その気持ちにお礼(お返し)をすることが多くなってきていることも確かなので、餞別のお礼はシチュエーションや相手とのお付き合いの度合い、会社や地域の習慣などによりお返しが必要な場合と不要な場合を見極める必要があります。しかし、お返しはしなくても、お礼の手紙やメッセージを贈ることは容易にできることですので、餞別をくれた皆さんに感謝の気持ちをお礼状として送るだけでも相手の方へ感謝の気持ちが伝わるのではないでしょうか。
餞別に対するお礼状の書き方
餞別に対するお礼状を書くときには、お礼状を書かなければいけない人数も意外と多かったり、相手により文章の内容が変わってくるので、どうしたらよいか考えるだけで頭の中は混乱してしまいそう…。お礼状は皆さん連名でいただいた場合などはその部署に一通出すということでもよいでしょう。個人で餞別をいただいた場合や大変お世話になった方などには個別で贈るのが礼儀としては良いいといえます。難しいと思ってしまいがちなお礼状も、文の大体の構成を決めて内容を相手により少しずつ変えていくだけで、立派なお礼状を書くことができます。難しく考えずにまずは順序に従って下記を参考にお礼状を書いてみましょう。
●頭語
手紙などは通常、頭語で始まり結語で終わります。「拝啓」や「敬具」などと聞くとなれそめがあるかもしれませんが、「拝啓」や「敬具」などのように頭語と結語でセットになった組み合わせのものを使います。送る相手との関係や親密度などにより変わってくることがありますので、贈る方にふさわしい内容の頭語と結語を使うようにしましょう。親しい間柄の場合は○○さんへなど頭語と結語は省略し、直接書き始めて問題ありません。
●時候の挨拶
時候の挨拶とは、季節の移り変わりや四季折々に感じること、その時々の天気、暑さ・寒さなどを書くことをいいます。よくビジネス文書などにも使われるものです。ある程度決まったものが多いので、インターネットなどで検索するとその季節にそって時候の挨拶例がたくさん出てきます。特に会社関係や年配の方には時報の挨拶は必要と考えておくと良いでしょう。
●餞別に対するお礼の言葉と感謝の気持ち
みなさん忙しい中、自分の為に餞別を選んで贈ってくれたことに対しお礼の言葉やいただいたお祝いの品に関して具体的な感想や喜ばしい気持ちなどを書きます。現金を受け取った場合は、直接的な表現は避け、「お餞別」、「お心遣い」などとすると良いでしょう。
●近況報告と今後の予定など
異動や転勤であれば、その後の近況報告や今後の仕事の抱負、退職や定年退職であれば退職後の進路や定年後の予定などを書いたり、今後の抱負や報告などを簡素に付け加えると良いでしょう。
●結び
「結び」の前に贈る相手の健康を願ったり、今後のお付き合いをお願いする一言などを文章に組み込んで書いてみましょう。
●連絡先など
最後に自分の氏名、郵便番号、住所、連絡先などを書いて終了です。大体の分の構成を決めて、相手により変えるところだけ変えて書けば意外と簡単に書くことができます。
お礼状はいつ出せばよい?
餞別のお返しやお礼状を出すと決めた場合、いつお礼状を出せばよいかわからないという方は多いかもしれませんが、新しい職場や転勤先の場所についてから、そして退職の場合は退職してから数日(2,3日)後に近況報告も一緒に書いて送ると相手の方にも元気でやっているという様子が伝わって良いでしょう。
餞別に対するお礼状文例
●転勤・異動の餞別に対するお礼状
拝啓
春暖の候、皆様に於かれましては、ますますご健勝の事とお慶び致します。先日は、私の転勤/異動にあたりましてお心遣いや励ましのお言葉を頂戴し、誠にありがとうございました。今後も皆様からご教授いただいたさまざまなことを生かし、精進してゆく所存でございます。○○課の皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げると共に今後も変わらず末永いお付き合いくださいますよう宜しくお願い申し上げます。
敬具
○○○○年○月○日
○○ ○○(差出人)
拝啓
陽春の候、皆さんお変わりありませんか。先日は私のために素晴らしい送別会を開いていただき、過分なるお餞別までいただいてしまい、誠にありがとうございました。新しい異動先ではなれないことも多いですが、今まで皆さんと築いてきたものを活かせる部署ですので、これまで以上に精進して参りたいと思います。今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。末筆ながら、皆様にはくれぐれも健康には御留意されますようお祈り申し上げます。
敬具
○○○○年○月○日
○○ ○○(差出人)
●退職・定年退職の場合の餞別に対するお礼状
拝啓
春暖の候、皆様ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。この度は私の退職にあたりまして盛大な送別会をしていただいた上にご餞別まで頂戴いたしまして誠にありがとうございました。また在職中は、公私にわたり大変お世話になりましたことを心より厚くお礼申し上げます。この度下記にて独立営業させていただくことに相成りました。未熟な事ばかりではございますが、誠意と情熱をもって皆様のご要望にこたえられるよう精進していきたいと思います。今後ともなにとぞご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。末筆ながら皆様のますますのご多幸とよりいっそうのご活躍を心よりお祈り申し上げます。
敬具
○○○○年○月○日
○○○○(会社名)
住所:○○○○ ○○○○
○○ ○○(差出人)
拝啓
春風が心地よい季節となりましたが、皆様にはいよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。この度は私の定年退職にあたり過分なるお心遣いまでいただき誠に感謝しております。また在職中は一方ならぬお世話になりましたことを心よりお礼申し上げます。今後は趣味の○○をしながら、妻共々自由気ままな第二の人生を歩んでまいりたいと思っております。末筆ながら皆様のますますのご活躍とご自愛のほどお祈り申し上げます。
敬具
○○○○年○月○日
○○ ○○(差出人)
最後に
お礼状は長々と手紙を書いて出す必要はありませんので、はがきなどにできれば手書きで書いて出すようにします。もちろん大変お世話になった方や仲がよかった方へ手紙で今までのお礼や餞別に対する感謝の気持ち、そして新しい職場や生活環境などの近況報告、最後に今後のお付き合いや相手の方のこれからの活躍を祈る気持ちなどを書いてもよいでしょう。