お世話になった方や、親しくしていた会社の同僚などが退職や転勤などする際に感謝の気持ちを込めて贈る餞別。餞別は個人で贈るものや同じ課や部署などの仲間で現金を集めて連名で贈る場合など、その渡し方はさまざまです。現金を餞別としておくる場合、封筒にお金を入れる際に気になることは「新札の方が良い?」ということではないでしょうか。
特にみんなで集めたお金は使い込んであるようなヨレヨレのお札が混じっていることもあるでしょうし、集めたお金を大きな金額のお札に両替して渡すこともあります。ここではそのような場面に立ち会った際に、お札は新札にした方が良いのか、そして封筒へのお札の入れ方など、餞別を現金で贈る際のマナーをまとめてご紹介したいと思います。
餞別とは?
餞別とは、今までお世話になった方との別れの際、新しい門出の際に金品や品物を贈ることをいいます。餞別の「餞」は「はなむけ」と読むことができ、昔旅に出る人の道中の安全を祈って、馬の鼻を目的地に向けて見送る習慣があった事などから「馬の鼻向け」という言葉の鼻向け(はなむけ)に餞(はなむけ)という言葉をあてて「餞別(せんべつ)」という言葉、意味になり、遠くに旅立つ人へ、新しい門出を祝って贈る金品や品物のことをいうようになりました。
餞別で包む現金は新札にした方が良い?
餞別におくる現金はかなり前から用意するというよりも、近くなってからまたは当日に集めて贈るなどということもあるかもしれません。そんな時に集まったお金がヨレヨレだったりした場合、これでは失礼にあたるので「どうにかしなければ」と考えるのが通常ですね。
これは忙しい方にとっては微妙に気になることだと思いますが、退職や転勤などの餞別で現金を包む場合、「新札」を贈らなければならないかというと、必ずしも新札でなければいけないという決まりはありません。しかし、これからの前途や門出をお祝いするための餞別ですので、できれば新札を用意するようにします。どうしても新札が用意できない場合はできるだけきれいなお札を選んで贈るようにすることがマナーといってもよいでしょう。
新札はどこで用意できる?
新札って意外と必要な時に手元になかったりすることがありますが、実際しっかりと事前に用意するとなるとどこで用意することができるかご存知ですか?何となく銀行で交換してもらえるというのはわかりますが、郵便局でも交換してもらうことができます。銀行によっては新札に両替ができるATMがあったりするので、そのようなものがあると並ぶ手間も省けて良いですね。時間がなくてどうしても用意できなかったときは、職場の経理の方に新札はないか聞いてみるのもよいかもしれません。もしくは周りの誰かに聞いれみると新札ではなくても綺麗なお札を持っているという方は少なからずいるはずです。
餞別を入れる封筒はどのような袋を使えばよい?
餞別を入れる封筒は一般的には「祝儀袋(のし袋)」を使うのがマナーですが、孫や親戚が留学に行く、などの比較的自分とのつながりが近い方へはあまりかしこまらずに「白い封筒」や「ポチ袋」のようなものに入れて渡すということも可能です。
職場関係などの餞別の際は「祝儀袋」を使うようにしましょう。祝儀袋はコンビニエンスストアや文具店、百円ショップなどでも売られています。祝儀袋の中でも、餞別に使う封筒は熨斗付きの紅白の水引の「のし袋」を選びます。水引の結び方に関しては2種類あり、「蝶結び」のものは一般的な餞別に使い(転職、退職、留学、旅行)、結婚退職や新婚旅行への餞別は一度限りという気持ちを込めて「結び切り」の「のし袋」を使います。
のし袋へのお札の入れ方
のし袋の場合、通常外の包みの他に中に中袋といわれる一般の封筒のように上部に開口部がある封筒が入っています。お札はそちらに入れて包むようにします。せっかく用意した新札とご祝儀袋。ここまでしっかり用意できたのだから、最後まで完璧にしたいところですね。中袋へのお札の入れ方は、ご祝儀袋の中袋の表(金額を書く面)とお札の表(肖像画がある方)を同じ面にして、お金を出したときに肖像画が初めに出てくるようにしましょう。ここまでしっかりできれば完璧です。
お札の表:肖像画(人物)が描かれている方
裏:肖像画(人物)が描かれていない方
※中袋とは:中袋とは、お祝い金を相手に贈るときに中身が分からないようにするためのものです。封筒になっていないもので、お金を包むタイプの中包みのタイプもありますので、その際は折ってあった通りに開いてお金を入れてから同じように戻すようにします。
中袋の書き方
まず、中袋表面の表中央に縦書きで金額(漢字の旧字体もしくは新字体で)を書きます。住所氏名は裏面中央より左側に住所、さらに左下側にフルネームを縦書きで記載します。会社などで連名(4名以上)で贈る場合は代表者の氏名と住所(会社の住所や部署など)その横に「外一同」と記入し、別途奉書紙などにそれぞれの氏名を地位の高い順に右川から記載していきます。上下の関係がない場合は五十音順に右側から左に順に記載していきます。
のし袋の表書き
定年退職:「祝定年御退職」「御礼」
退職:「御礼」「おはなむけ」
転勤、移動:「御餞別」「おはなむけ」、「御礼」
結婚退職:「御結婚御祝」「祝御結婚」
目上の方に渡す場合:「おはなむけ」
最後に中袋を外包の中にもどして包み、後はお渡しするのみとなります。最後の中袋の表と外包を合わせて包みますが、外包を閉じる際に上下を折り曲げますが、その時に折り返す下の部分を上の部分に重ねます(下の部分が上に来るように)。運が上がるように、嬉しいことは受け止めるようにとの思いを込めて下の部分を上にします。不祝儀(香典など)はその逆になりますので、折り返しの上下を間違えないように注意してください。
最後に
餞別には新札を使うと良いということはご理解いただけたかと思います。祝儀袋には種類や入れ方、そして書き方など細かいことがたくさんあって難しいと感じる方も多いかもしれませんが、一度覚えてしまえばさまざまなお祝い事などでしっかりと使うことができるようになりますので、ぜひ実際に使って自分のものにしてみてください。