ある時、「葬儀は近親者だけで終えました」などとハガキで通知が来たり、いつものように年賀状を贈ったら喪中のハガキが送られてきたなんていう事はないでしょうか。そこで初めて友人や友人の両親などの訃報を知ったなどということは、長い人生の中で遭遇することがあるかもしれません。そんな時、大変お世話になった友人のご両親や友人本人のお宅へ伺い、仏壇にお参り、またはお墓にお参りをしたいけれど、どのようにしたらよいのかわからないという方は多いかもしれません。ここでは、葬儀後に訃報を知った方でお参りへ行くことを考えている方に、弔問するときに知っておくと便利なお参りに行くときのマナーをご紹介したいと思います。
弔問とは?
弔問とは、訃報を聞いて亡くなった方の遺族の元を訪ね、お悔やみを述べることを言います。一般的には弔問は葬儀を終えてから四十九日までの間が良いとされていますが、年賀状のやり取りなどでずいぶん後に知った場合でも、遺族の方と連絡を取り、ご自身の故人への気持ちをしっかりと伝えた上で御仏前にお参りさせていただきたいと申し出れば、遺族の方も弔問を受けてくれることでしょう。
葬儀後のお参り、弔問するときのマナー
●弔問をするときは事前にアポイントを取る
親しい間柄であったとしても突然の訪問はマナー違反です。とくに友人が亡くなられてそのご家庭に弔問する際などは、あなたの事を知らない可能性もありますので、しっかりと自分の身分を述べ、御仏前にお参りしたいということをお話しした上で弔問に伺ってよいかを確認するようにします。弔問が遺族の方のご都合が悪いなどでできない場合はお墓まいりだけでも行ってよいかなど聞いたうえで問題がなければお墓の場所を聞いてお墓参りにいってもよいいでしょう。
●遺族の家に入る時のマナー
通常のお宅に伺うこととあまり変化はありませんが、弔問の際は、まず玄関に入ってお悔やみの言葉を述べます。その後は遺族と簡単な挨拶を交わし、遺族に促されてから家に上がります。当たり前ですが、自ら上がろうとするのはあまりマナーが良いとはいえません。
●お悔やみの言葉
お悔やみの言葉とは、故人の死を悼み悲しむ気持ちをこめて、のこされた遺族を慰め、労わるために述べる言葉のことです。通常は、「このたびはご愁傷さまでございます」という言葉を使うことが多いですが、この「愁(しゅう)」という言葉には悲しく思うという意味があります。さらに「愁傷」となると「(心の)傷をうれえる」ということになり、「気の毒に思う」という意味になります。その他にも例文をあげてみます。
- 「このたびは、本当に残念でなりません。ご家族の皆様、どうぞお力落としのございませんように。」
- 「このたびは、思いもかけないことで、さぞお力落としのことでしょう。心よりご冥福をお祈り申し上げます。」
- 「このたびは、誠にご愁傷さまでございます。○○様(さん)のお元気な頃のお姿を思い出すと、悲しみで言葉もありません。」
- 「このたびはご愁傷さまでございます。○○様(さん)の訃報に接し、驚きと悲しみを深くしております。ご家族の皆様の悲しみを思うとお慰めの言葉もございません。一日も早く立ち直られますよう、お祈りいたしております。」
上記の例文の中で、どれが正解ということはありません。自分の立場をわきまえ、自分の言葉で気持ちを伝えることが大切です。あまり長い言葉ではなく、短くねぎらいと悲しみの言葉を伝えます。
●香典及びお供え物の渡し方
部屋に通されたらまずはお仏壇にお参りをさせていただきます。持参した香典やお供えは自分で祭壇にお供えするので「お線香をあげさせていただいてよろしいですか」と聞き、遺族の許可を得て、お参りする際に祭壇にお供えします。まず仏壇の前で正座をしてから一礼し、香典を袱紗から出して、一度頭上にかざしてから祭壇に置きます。香典を置く向きは自分から見て正面(読めるよう)に置きます。もしもお供え物も持参した場合は、祭壇の余っているスペースに置きますが、祭壇にスペースが見当たらない場合は、持参したお供え物の紙袋を床に敷き、その上に置きます。その後、お線香をあげます。※香典の表書きは四十九日前であれば「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」とします。葬儀後の香典は遺族にとって香典返しの負担となってしまうことがありますので、香典返し辞退などを事前に伝えておく、またはちょっとしたお供え物のみにするなど遺族の方の負担にならないような配慮も必要です。
●仏前にお線香をお供えし、お参りする
部屋に通されたらまずはお仏壇にお参りをさせていただきます。仏壇の前で一礼し、お線香をあげ合掌します。宗派によりお参りの仕方やお線香の本数はさまざまですので、相手の宗派を知っているようであればそれに習い、わからなければ自分の宗派のやり方もしくは1本から3本で、香炉に一本ずつ立てます。決してしてはならないのはお線香の火を口で吹き消すこと。これはマナー違反となりますので手で扇いでけす、または火のついたお線香を上から下へスッと下ろすと火が消えます。
●長居はしないようにしましょう
故人へのお参りが済んだあとは、遺族に気を遣いつつ、故人に関係する思い出などを話したりしますが、病名や死因などは遺族の方に失礼になることがありますので、こちらからは聞かないようにしましょう。故人とは親しい間柄であったとしても、遺族にとっては初めて対面する他人である場合もあります。遺族とは故人との楽しかった思い出などを簡潔にお話しし、きりの良いところで引き上げ、あまり長居をせずに失礼します。帰る際には一言「色々大変でしょうけど無理なさらないように」などと労いの言葉をかけると丁寧です。
●どのような服装で伺うべき?
お葬式後の弔問では、黒あるいはダークスーツやセットアップなどの地味な服装であれば普段着に近いものでも問題ありません。お葬式などの式へ参列するわけではありませんので喪服を着る必要はありませんが、男性であればスーツで行けば、故人を忍んで弔問した気持ちが伝わるでしょう。女性の場合は派手なアクセサリーなども控えましょう。
最後に
葬儀後の弔問というのは緊張するかもしれませんが、故人の事を偲んでお参りさせていただき、遺族の方への気遣いを忘れずにすればきっと故人も遺族の方も喜んでくれることと思います。